「初恋島」*2018年 作品としての限定1部製作の写真集 


写真家として「島」をテ ーマに撮るというと、おそらく島の人々の生活、歴史的背景、島が抱える問題などに気持ちが向かうのかもしれませんが、自分はある時この「島」に出会って、海の上にポツンと浮かぶその姿がなんだかとても気になってしまい、2年間シャッターを押し続けていました。
 
自然の表情は激しく変わり、それによって「島」の表情も激しく変わる。壮快に晴れてる中に邪魔するものは何も無く小さいながら堂々としてる日、雲の隙間からの光に遊ばれてる日、どんより重い雲に押しつぶされそうな日、後光が差してまるで宙に浮いてるような日、激しい風にあおられてる日など...おそらく自分の好きな人に対して「今日の体調どう?」とか「大丈夫?」というような感情に似ているものかもしれません。大自然の中にポツンと、いかなる天候にたいしてもがんばっていて、その一生懸命さに「いとおしい」という感情が芽生えてしまい、そんな姿を6x7のフィルムとハンディなデジタルカメラにおさめながらも、ちょっと興味本位で船でこっそり島に行ってしまうこともあります。
 
自分の「島」との接し方はあくまでも客観的です。「島」に渡ると、普段の自分の撮影方向からは見えない裏側なんかもパトロールして、食堂やバーベキュー場なんかで飯を食べたり植物を観察したり、いつも遠くから見ている赤と緑の灯台の光にも会いにいったりもします。「島」には島の空気があり、ボクが来ようが来まいがいつもと同じ時間と空気で、自分はそこには必要以上にズカズカとは踏み入らないようにいつも通りの姿を感じながら「島」を一周してそ~っと帰ってきます。そして夕方、離れたところからまた見守り、西陽に照らされていい表情してるな~なんて思いながらシャッターを切ります。ちょっと屈折している
ような接し方ですがこれが自分と「島」との関係です。この大自然の過酷な環境の中、たくましくあり続けるこの「島」のいとおしい姿をこれからも見守りつづけこっそり応援していきたいです。 

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